いのうえ小児科
アレルギー科クリニック
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蕁麻疹は、一般には一過性限局性の皮膚(真皮)の炎症と言われており、皮膚の毛細血管の透過性亢進に基づいて生じるものであります。蕁麻疹の経過として、多くは半日〜1日以内に消失しますが、中には、長期間出現と消失を繰り返す場合や、長期間に渡って、出現し続けるケースもあります。一部に、蕁麻疹が増強、拡大し、口唇粘膜、眼球結膜にも病変が広がり、重症化する場合もあります。
   
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蕁麻疹は、1ヶ月以内に消失する急性蕁麻疹と、1ヶ月以上に渡って出没を繰り返す慢性蕁麻疹とに区分されます。慢性蕁麻疹の場合は、数ヶ月から数年症状を繰り返すケースも認められます。急性蕁麻疹の持続する例や慢性蕁麻疹は、抗ヒスタミン剤の内服適応になります。
 
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蕁麻疹の原因や誘因になるものとして、第一に食物(ソバ、カニ、エビ、小麦、卵等)や薬物(抗生剤、解熱鎮痛剤等)があげられますが、明確に原因物質が食物や薬物と判明する場合の方がむしろ少ないです。それよりも、元々ダニ、ハウスダスト、真菌等に感作され(過敏な状態になっている)、さらに感染(風邪も含めて)、温度・湿度変化、心理的要因(ストレス、精神的緊張等)の少なくともいずれか1つが加わり、蕁麻疹が発症する場合が比較的多いです。特殊なケースとして、慢性蕁麻疹を持つ患者さんに、IgE抗体に対する自己抗体やIgE受容体抗体に対する自己抗体が認められる場合があります。
 
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蕁麻疹の基本的治療は、原因物質を除去する事ですが、前述した様に、それが明確であるケースの方が少ないです。薬物療法としては、抗ヒスタミン剤の内服が主で、慢性化、難治化する蕁麻疹に対しては、ステロイド剤の内服を処方する場合もあります。また、急速に拡大・融合し、広範囲に到る蕁麻疹に対しては、肝庇護剤として使用される強力ミノファーゲンC、グルタチオン製剤や代謝の速いステロイド剤の点滴静注を施行します。点滴施行後も、軽減しない場合や全身に及ぶ蕁麻疹が持続する場合あるいは難治性の慢性蕁麻疹に対しては、入院加療が必要となり、分子生物学製剤である抗IgE抗体(オマリズマブ)が使用(成人に適用)される場合があります。
 
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一般に蕁麻疹は、出現してもすぐに消失する湿疹と思われがちですが、中にはなかなかしつこく消失しない難治性の蕁麻疹も存在します。日常生活上、蕁麻疹でお困りの方は、一度外来を受診され、御相談下さい。
 
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